大阪高等裁判所 昭和24年(を)1447号 判決 1950年3月11日
被告人
增田義治
主文
原判決を破棄する。
被告人を懲役八月に処す。
但本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
弁護人吉岡幸三、平田榮之助の控訴趣意第二点について。
少年法第五十條、第九條の規定はまさに所論のとおりである。しかし少年法第五十條は少年の身上に關する調査の方法につき格別の制限を付していないからその目的を達するに適當であるかぎり事實審裁判所の適當と思料する方法により施行することを妨げないものと解するのが相當である。今これを本件についてみるに原審公判調書によれば原審裁判官は公判廷において少年法第九條所定の調査事項に關し自ら直接質問の方法により大体取調べをしていることが明らかであつてこのような調査方法は本件記録にあらわれた各般の状況に鑑み必ずしも少年法の精神に背馳するものというを得ないから論旨は理由なきものといわねばならぬ。